クリノエンスタタイト(単斜頑火輝石)〜
Caクリノエンスタタイト(若干のCa・Feを含むクリノエンスタタイトでピジョン輝石ともいう)
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単斜晶系 二軸性(+),2Vz=0〜50°(Ca・Feに乏しいものは50°に近く,大きい。ただし,アイソジャイアーが見られるほど粗い結晶は少ない) α=1.650〜1.722 β=1.652〜1.722 γ=1.658〜1.751 γ-α=0.008〜0.029(屈折率・干渉色はCa,Feを含むほど高い) 
※クリノエンスタタイト・Caクリノエンスタタイトは火成岩固有の鉱物。なお,Caクリノエンスタタイトは光学的に普通輝石と区別困難で,その存在は偏光顕微鏡下では確認できないことが多い。

色・多色性/Feに乏しいものは無色で多色性なし。Feに富むものは少し褐色を帯びるが多色性はない。

形態/
細かい短柱状。なお,特殊な高Mg含有の安山岩(無人岩など)中の粗大なプロトエンスタタイトの斑晶が温度低下でクリノエンスタタイトに相転移したものは10数回以上反復した反復双晶をなす。


双晶/(1 0 0)の双晶が存在することがある。高Mg含有の火山岩(無人岩など)中の粗大なプロトエンスタタイトの斑晶が温度低下によりクリノエンスタタイトに相転移したものは10数回以上反復した反復双晶をなす。

へき開/2方向(C軸方向)に明瞭。C軸方向からはほぼ90°に交わる格子状に見える。C軸に直角の方向からは1方向しかないように見える。
消光角/C軸に直角の方向から見た,1方向しかないように見えるへき開線に対し,最大40°前後(b軸方向から見た場合)。
伸長/消光角が大きいので伸長の正負はわからない。


累帯構造/あまり見られない。

産状/クリノエンスタタイト・Caクリノエンスタタイトは火成岩固有の鉱物。Caクリノエンスタタイトは通常の安山岩・玄武岩の石基鉱物や時に斑晶としてしばしば含まれるが,粒度が小さい場合が多く,かつ,普通輝石と区別は難しく,偏光顕微鏡では存在が認識されにくい。一方,はんれい岩中のCaクリノエンスタタイトは徐冷により普通輝石と頑火輝石の(0 0 1)方向の離溶ラメラ集合体に分解していることが多い(転化ピジョン輝石とよばれる)。コンドライトにはクリノエンスタタイト〜Caクリノエンスタタイトは細かい柱状で含まれていることが多い。なお,特殊な高Mg含有の安山岩(無人岩など)中の粗大なプロトエンスタタイトの斑晶が温度低下でクリノエンスタタイトに相転移したものは,特徴的な粗いラメラ状の反復双晶をなすため同定は容易である。